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末満英俊(すえみつ ひでとし),教授,工学博士

略歴

第2次世界大戦の開戦の年,昭和14年に広島県尾道市に生まれました。終戦直後の昭和21年に小学校に入学,わら半紙の粗末な教科書を使っていたことを今でも思い出します。家庭の事情もあり、就職するつもりですぐ近所にあった尾道商業高校に入学。ここでのある教師との出会いが私を物理の道に進ませることになりました。昭和37年に山口大学文理学部理学科を卒業。もっと物理の勉強がしたくて、京都大学大学院に入学。輻射物理学講座という分光学を専門とする研究室に入りました。そこで,修士過程では強磁場中の固体試料にマイクロ波をあて,その吸収から固体中での不純物イオンの様子を調べる研究をしていましたが、博士課程では一転研究分野を変えました。博士課程に進学した年に,指導教授の工学部機械第2教室への転出で一緒に移り,博士課程を中退して助手になりました。その後、当時未来のエネルギー源として注目されていた核融合プラズマからの発光を分光学的手法で測定し,プラズマの状態を明らかにする(プラズマ分光学)という研究を約15年間続けてきました。その研究に一応の決着を付けた段階で渡米し,2年間ネブラスカ州立大学物理教室で,より基礎的な原子分子の分光学の方向に研究をシフトさせ,帰国後は主にレーザーを使ってアルカリ金属分子の多光子電離を研究してきました。12年前に本学に移り,現在は,半導体レーザーにより冷却されたRb 原子のダイナミックスを研究しております。

専門分野

原子分子分光学

担当科目

基礎物理学、物理学2、物理学実験

主な論文

  1. T. Kawachi, H. Suemitsu, K. Sawada, T. Fujimoto, T. Maehara, S. Yoshimura,
    T. Maekawa, Y. Terumichi
    "In situ sensitivity calibration of an XUV spectrometer for plasma spectroscopy: Branching ratio method and collisional-radiative model", Rev. Sci. Instrum. 66(2), 1042-1046 (1994).
  2. Y. Yasaka, H. Takeno, M. Sakka, O. Sakai, R. Itatani, T. Fujimoto, H. Suemitsu, K. Takahata, M. Fukao, S. Tanaka and Y. Terumichi
    "Nonlinear ion Bernstein wave heating experiment in the WT-3 tokamak", Plasma Phys. Control. Fusion 35, 379-389 (1993).
  3. H. Suemitsu, H. Kitaura, R. Yokoyama, M. Ehara and H. Nakatsuji,
    "Multiphoton ionization of Rb2 in the Wavelength Range 620 - 670nm",
    J. Phys. B: At. Mol. Opt. Phys. 25, 4507-4517 (1992).
  4. H. Suemitsu, K. Iwaki, Y. Takemoto and E. Yoshida,
    "Behaviours of Allowed (43D-23P) and Forbidden (43F-23P) Components of HeI 4472A Line in High Electron Density He Z-Pinch Plasma", J. Phys. B: At. Mol. Opt. Phys. 23, 1129 (1990).
  5. T. Fujimoto, K. Sawada, K. Takahata, K. Eriguchi, H. Suemitsu, K. Ishii, R. Okasaka, H.Tanaka, T. Maekawa, Y. Terumichi and S. Tanaka,
    "Spectroscopic Determination of Hydrogen and Electron Densities in Plasma in the Ionizing Phase: Application to WT-III", Nucl. Fusion 29, 1519 (1989).

研究紹介

光とは何であるか。どうして光るのか。このことに対する正しい答は20世紀初頭の量子力学の出現を待たねばならなかった。あらゆる物質は原子,分子からできている。これらが外部からエネルギーをもらった場合,より高いエネルギーをもつ状態(励起状態)に移るが,この状態にいつまでも止まっておれず,ある寿命でより低いエネルギーの状態に必ず落ちてしまう。その時そのエネルギー差だけのエネルギーを持つ光を放出する。基本的には,これが物質が光る主たる原因です。原子,分子により出てくる光の色(振動数)は異なり,逆に観測した光の振動数から原子,分子の名前,さらに,それらがどのような状態にあったかを特定できる。最近はレーザーという強力な光源が発明され,これを照射することにより,これまでよりはより能動的に物質を調べることができるようになってきた。
 私の研究室では,主に種々なレーザーを使い,気体状態の原子・分子の励起状態の様子を調べることが研究の主テーマです。これまでの研究課題は

 1.アルカリ金属分子の多光子電離
 2.エヴァネッセント光を利用したオプトガルバニック効果による放電管壁近傍の準安
  定励起原子の検出
 3.Rb 分子のレーザー冷却および冷却されたRb 分子のトラッピング

 現在は,レーザー冷却されたRb 分子を作ること,さらに,条件を変えることによりトラップされたRb 分子の数がかわるが,その結果,どのような変化が起こるかを研究課題として取り組んでいる。
 卒業研究の課題としては
 1.Nd-YAG レーザー励起による色素レーザー発振器の製作
 2.外部回折格子型波長可変半導体レーザーの製作
等がある。

冷却およびトラップ用ガラスセル suemitsu_1.jpg

suemitsu_2.jpg Rb 原子レーザー冷却装置

外部回折格子型波長可変レーザー suemitsu_3.jpg

suemitsu_4.jpg Nd-YAG レーザー励起色素レーザー

高校生の皆さんへ

高校生の皆さんへメッセージを送ります。

続く...