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天気予報にみる計測・モデル・シミュレーション

 計測・モデル・シミュレーションを,天気予報を例に取り考えてみましょう.

計測

 

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 天気予報で大事なことは,気象データを集めることで,出来るだけ細かく日本全国に観測点を置くことが必要です.その大事な計測部を担っているのがアメダスで,地域気象観測システム(Automated Meteorological Data Acquisition System)のことです.英語の頭文字を取って,AMeDASと書かれることが多いのですが,「雨出す」に引っかけた造語でもあるそうです.気温・降水量・風向/風速・日照(これらを4要素と言います)と,積雪地では積雪深を自動観測するシステムです.基本的に1時間に1回気象庁に電話回線でデータを送っている自動観測装置です.その他に,雨量だけを観測する雨量ロボットもあります.4要素を観測できる地点は全国に約840カ所あるので,21km四方に1つある勘定になります.アメダス地点は,気象庁のホームページで探すことが出来ます.ちなみに,どのような場所に置いてあるかというと,各種学校の校庭,役所の庭,農業試験場,消防署,浄水場など,いわゆる税金で運営されている土地に設置されているのが一般的ですが,個人の庭に設置されていることもあります.有線ロボット気象計とも言います.
 上の写真は典型的なアメダス地点です.柵に囲まれた芝生の露場があり,その中に測器感部と変換・処理部の2つからシステムは構成されています.多雪地などでは柵の無いタイプもあります.

モデル

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 天気予報を行う場合には,日本におけるアメダスだけのデータでは足りません.全世界のデータを集める必要があり,世界中で気象観測を行っている機関がお互いにデータを交換しています.それでも,地球上の陸地の配置を見ても分かるように,観測地点は北半球に偏っていますし,途上国や海上には観測点の数が限られています.そのため人工衛星のデータも使います.このようにして手に入れたデータを使って,予報を行う訳ですが,コンピュータで取り扱いやすいように、規則正しく並んだ格子で大気を細かく覆い、そのひとつひとつの格子点の気圧、気温、風などの値を世界中から送られてくるデータを使って求めます。例えば,格子の大きさは地球表面を640×320の大きさに分け,高さ方向には40の層で分割します.そして,各格子に各地点からのデータを代入して,これをもとに未来の気象状況の推移をスーパーコンピュータで計算します。この計算に用いるプログラムを「数値予報モデル」と呼んでいます。現在,使われているモデルは「統一非静力学モデル」と呼ばれています.実際の数式に興味のある方は,このページの下にある気象庁のバナーをクリックして,気象庁のホームページから,気象研究所を訪ね,「気象研究所技術報告」第42号を見てください.
 こうした数値予報モデルの結果は、数値予報天気図や格子点値として出力され、民間気象会社や報道機関に提供されているほか、外国の気象機関でも利用されています。
 ヨーロッパや低緯度地域の大気の状態も、数日後には日本に影響を与えます。このため、週間天気予報では地球全体をカバーする全球モデルが必要となりますし,1〜2日先までの天気予報では、領域モデルを用いて、日本の周辺に発生する気象現象をできるだけ高解像度で予測します。

シミュレーション

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 上が数値計算によって求めた予報天気図で,下が24時間後の実際の天気図です.両図の気圧配置や前線の位置を見れば,両者がよく会っていて,天気予報に役立っていることが分かると思います.

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このページは気象庁のホームページ "http://www.kishou.go.jp/" を参考に記述しました.また,ここで使用している図は同ホームページから引用しています.天気図は2006年5月16日午前9時の予報図(前日の午前9時に発表された)と現況図です。