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地球の大きさを測ろう

夜空に星を見よう

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私は奈良県の四方山の中に育ったせいか,「遠くへ行きたい」願望があった.「知らない街を...知らない海を...」という歌があったが,とにかく「知らない世界へ...」飛んでゆきたい願望があった.そのせいかどうか,夜空の星を見るのが好きだった.その当時,今では信じられないくらいの星空が広がっていた.自然といろんな星座を覚えた.とりわけ,夏の天の川にかかる白鳥座やさそり座,冬のオリオン座に牡牛座は鮮やかにその姿を描くことが出来る.とりわけ,北斗七星と相対するカシオペア座の間に立つ北極星は「動かない星」として特別なものがある.いまでも,どこにいてもすぐに見つける頃が出来る(南半球の世界には残念ながら行ったことが無い).遠い昔から人類は,人それぞれの思いで旅をしてきた.そのとき何よりもこの星を頼りにしてきた.地球が回るか天空が回るかは別にして,いつも一定の規則で同じ位置に現れる星達は確かに頼もしい道しるべになったことであろう.とりわけ北極星は.
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地球の大きさを測ろう

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さて,地球は真ん丸であると仮定して,球の最上点を北極点,最下点を南極点と呼ぼう.さらに,この北極点と南極点を結ぶ線を軸として自転しているものしよう.このとき北極星はいつも同じ位置にある(何万年昔や何万年未来は知らないが)ということから,北極点上空無限遠方にあることになる.北極点に立つと,いつも真上に北極星がある(首が痛くなりそう.一度見てみたい).一方,赤道付近では地平線(水平線)すれすれにこれを見ることになる(実際にはなかなか見えないと思う).

今我々はちょうど北緯 latex math image に立って北極星を見ているとしよう.このときの仰角(向きを変えないで,水平線から北極星を見上げるまでの角度)も latex math image となる.図を参考に考えよう(考えるまでもないか).すなわち,「北極星を見上げる仰角は自分が立っている緯度に等しい.」

そこで,真北に(つねに北極星を見つめて)どんどん歩いて再び北極星を見上げよう.このとき仰角は増えてゆくはずである.今,latex math image 歩いて仰角が latex math image だけ増えたとすると,簡単な比例計算によって,地球一周の距離は latex math imageとなる.

精密な測定器を用意できるなら,少しの距離を歩くだけで仰角の変化が読み取れる.latex math image 歩いて変化を読み取れるためには,どのくらいの精度の機器が必要でしょうか.